Messenger botの可能性—2016年4月新規事業トレンドレポート

新規事業の動向を月次でお届けするレポート。2016年4月、PR TIMESを中心に新規事業関連をリリースした企業を業界別に分けたものが以下の表になります。

201604-1

IT・情報通信が約8割を占めるカタチとなりました。

1位 IT・情報通信  約79%
2位 生活・サービス  約14%
3位 流通・小売  約7%

IT・情報通信分野内での動向を分析しグラフに表したものが下図です。

201604-2

ニュースリリースの半数をIT・情報サービスが占めており、通信サービス、ソフトウェアが続きました。

Facebook、SNSからプラットフォームへと躍進

4月のトピックとしてぜひ触れておきたいのが、10億人以上ものMessengerユーザーをかかえるFacebookが立て続けにビジネスシーンで活用できる新機能を発表したという点です。

Messenger内での短縮URL「Messengerリンク」や、コードをスキャンするとMessengerの連絡先にない相手とやりとりできる「Messengerコード」もさることながら、一番の注目は、4月12日「F8  2016  デベロッパー・カンファレンス」で発表された、Messenger向けbot構築プラットフォーム「bot for Messenger platform」のベータ版です。

顧客とダイレクトにコミュニケーションが取れるようになり、botでの会話を通じてレストランの予約や花束のプレゼント、関心のあるニュース受信などができます。botで対応しきれない場合は人的対応に切り替える機能も用意されています。ただし、決済機能は現時点でついていません。

加えて、Facebookは開発中のアシスタントbot「M」で採用している人工知能「Wai.ai Bot Engine」もbot開発で利用できるようにしています。こちらを採用することで自然語学を自力で学習し、状況に応じて対応できるbotが作れるようになるとのこと。

さらに、作成したbotをユーザーに見つけてもらうための手段もいくつか提供するようです。

ニュースフィードの広告をユーザーがタップすることでbotとメッセージするボタンを追加できる機能や、SMSでやり取りした顧客の電話番号に基づき、botからメッセージが送信できるといった顧客マッチング機能、Messengerの検索機能などが含まれています。

Messenger botの機能がおおいに期待できるのが、人とのやりとりや検索。たとえばコールセンターは基本的にスクリプトを用意しているため対応は一定ですが、営業時間のしばりがあるため、知りたいときにつながらないジレンマがあります。混雑する時間帯にかけたら待たされることを覚悟しないとなりません。このあたりbotを導入することで解決。コールセンター運営側も大幅なコスト削減につながります。

ほかにも、病院がやっていない時間帯に具合が悪くなったら、救急センターに症状をbotで伝えると最寄りの診療可能な病院を教えてくれたり、商品の一括見積もり依頼をbotに投げると最安値と購入できるサイトのURLを教えてくれたり等もできるでしょう。さらに進化すると、ユーザーの購入サイクルプランに合わせて買い時をお知らせする機能が付加されるかもしれません。

Facebookだけでなく、LINEやMicrosoft、Google等続々とbotを提供している背景に、こうした「for you」に注力したサービスが台頭することが予見できます。

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