ICTで農業も「見える化」—2016年6月新規事業トレンドレポート

新規事業の動向を月次でお届けするレポート。
2016年6月、PRTIMESを中心に新規事業関連をリリースした企業を業界別に分けたものが以下の表になります。

2016年6月:新規事業をリリースした企業(業界別)

IT・情報通信が約8割を占めるカタチとなりました。
1位 IT・情報通信 約77%
2位 エネルギー・資源・素材 約8%
3位マスコミ・エンタメ・レジャー 約8%

IT・情報通信分野内での動向を分析しグラフに表したものが下図です。

2016年6月:IT・情報通信企業の内訳

ニュースリリースの8割をIT・情報サービスが占めており、ポータル・検索エンジンが続きました。

農業の「ノウハウ」の見える化で日本に強い農業を

今回はIT・情報通信分野から、農業×ICTの記事をご紹介します。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)において関税の撤廃や各国のルール、仕組みの統一がなされることから懸念されているのが「農業」。安価に海外の製品が提供されれば消費者にとっては嬉しい反面、必然的に競争激化が巻き起こるため安定供給は難しく、これまでのやりかたを変えていくことが求められています。加えて、少子高齢化に伴う後継者や従事者の確保等、課題は山積みです。

そんななか、ソフトバンク・テクノロジー株式会社テラスマイル株式会社が6月6日にICTを活用して農業の課題にアプローチするために業務提携を発表しました。前者が保有するクラウドやビッグデータの分析ならびに活用に関する知見・ノウハウと、後者がかかえる農業経営の可視化・分析ツール及びレポート提供のノウハウを共有し、「農業経営の見える化」及び「稼げる農業を支援するレポーティングとコンサルティング」を目指すというものです。

対象は次世代を担う農業従事者。リリースによると、県の農業試験場や普及センター、農業協同組合の専門家から生産技術指導を受けられる環境は充実している一方、経営状況の把握は進んでおらず、6割強の農協系統の農家ではいまだ年一回の確定申告書で知るのが常。当日の出荷量に応じた想定売上や稼ぎ時の把握、出荷量や売上に関する地域の平均や月次での比較といった戦略に必要な数値より、知識と経験に基づく匠の技に頼っていた部分は否めませんでした。

そこで同社は、農地情報をスマートフォン等のデバイスから入力することで売上・コストの可視化や、農業経営に必要なさまざまなデータを組み合わせ、AIで出荷量等の予測を立て、有利な条件での取引・販売、受発注を支援する分析レポーティング提供の開発に着手。

今回の事業提携により、熟練農家の匠の技(暗黙知)をICTで形式知化し、後世への継承や新規参入の促進や、 ロボット技術等使って超省力かつ大規模生産ならびに、作物の持つ能力を最大限に発揮、きつく・危ないといったイメージの払拭等、スマート農業の実現が期待されています。

サービス提供予定は9月。ICT化による「攻めの農業」はまだ始まったばかりです。

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