スピーディにビジネスモデルの転換に対応し、サービス収益化に成功した時の話

2015.01.26

みなさん、こんにちは。プライマル株式会社のコンサルタント、竹内です。

今回はとある「学習教材配信プラットフォーム」を立ち上げ、収益化に成功した時の経験談をお話いたします。

WEBサービスの開発を行う場合、スケジュールに追われる事もあり、「企画されたサービスモデルやビジネスモデルが満たされるシステムをいかに的確に提供できるか」を主眼に置いて開発されがちなため、完成したシステムは当初の目的を達成するためだけに作られる事が多いものです。そのため、ビジネスモデル変更などの大きな方向転換には対応できず、最終的にサービス自体失敗に終わる事があります。

この様に本来ならば失敗に終わりがちな、システム開発完了後のビジネスモデル変更が、どのように行われビジネスの成功に結びつけることが出来たかをご紹介いたします。

サービスがスタート、教材コンテンツは素晴らしいのに売れず、苦戦。

サービスリリース時点では、オンライン学習という形で学習教材をエンドユーザーに対して直接提供する、BtoCモデル型のサービス形態をとっていました。学習教材については、顧客企業のブランドイメージの良さ、営業力の高さもあり、差別化が可能な競争力のある教材を集める事ができており、いかにその学習教材をオンライン学習という形でユーザーに対して訴求し、効率的に学習させるのかという観点でプロモーションや提供機能の検討を行っていました。

半年ほど、学習教材の拡充や機能拡張を順次行い、サービスを拡大させて行きましたが、売上は苦戦が続き、戦略・戦術の方向性について練り直しが必要となってしまいました。オンライン学習という基本軸はずれないように、市況の再確認・ユーザーへの訴求方法・利便性の再検討など、様々な角度で検討を行いました。

再検討の結果、顧客企業はサービスのターゲットを細分化し、各々のターゲットのニーズに合わせたサービスを提供することにしました。「ターゲットが広すぎて、全てにおいて中途半端なサービスになってしまっているのではないか?」という仮説が前提にありました。

結果、1年という短い期間で10以上の教育系サービスを次々と立ち上げ、開発費は勿論のこと、プロモーション費にも億単位の投資を行い、一気に勝負に打って出ました。しかしながら、立ち上げたどのサービスも、思う様な結果を得る事ができなかったのです。

直接エンドユーザー向けに有料のオンライン学習サービスを提供するモデルには限界が来ていました。

スピーディにビジネスモデルの転換を実現する。

顧客企業はビジネスモデルを変更する決断をします。

コンシューマ向けのB2Cモデルから、事業者向けに教育サービスプラットフォームを提供するBtoBtoCモデルへ変更することにしたのです。学習教材や学習機能を提供するシステムだけをASPサービスとして企業向けに提供し、システム利用料という形で提供先企業から料金を頂くモデルです。

以前から、サービスを展開するうえで顧客企業が狙っていたターゲットに向けてビジネスをしたい企業はたくさんありましたが、彼らは大規模な開発費を投資できず、業界参入に二の足を踏んでいました。ビジネスモデルの転換にあたって、開発面で多少のカスタマイズは発生しましたが、主要な単体機能は既存のものをほぼそのまま利用する事ができ、結果的に開発コストをほぼかけずに、スピーディにビジネスモデルの転換を実現しました。

ビジネスモデルを変えた途端に収益化。

顧客企業がもともと開発していたシステムはクオリティの高いもので、学習機能や料金体系は競合他社と比較しても何一つ遜色なく、優位性もありました。顧客企業の高い営業力もあり、結果的には教育業界のみならず、様々な業界から予想を上回る引き合いが集まり、嬉しい悲鳴が上がるまでに収益を上げる事ができました。

既存の主要な単体機能をほぼそのまま利用する事が出来たお陰で、開発の予算やスケジュールを最小限に抑え、試行錯誤をスピーディに行うことができたことが成功の要因でした。

目先の開発だけに囚われない、先を見越したシステム設計を意識する。

BtoC型のサービスでスタートした事業ではありましたが、経営陣、企画担当の方々と継続してお話する中で、ビジネスモデルが今後BtoBtoC型へ転換する可能性がある事は十分に感じ取れました。

その可能性を踏まえ、新機能などを追加する際は、B2B2C型でもそのまま利用可能な、独立して動作する事ができる汎用性の高いシステムになる様に設計を行いました。スケジュールに追われて目先の開発だけを考えるのではなく、できる限り2歩先3歩先までの展開を見据え、それに適応し得るシステムになるように設計する事を意識的に行うのです。

結果、その試みは功を奏し、BtoBtoC型のビジネスに舵を切った際、会員基盤などの作り直しは多少発生したものの、数億円を投資した主要機能の資産はほぼそのまま流用する事ができ、開発コストの軽減及びスケジュールの短縮化を実現するに至りました。

筆者の一言。

新規事業は既存事業と比べ、不確実性の高い事業です。

今までの成功体験がそのまま通用するとは限らず、都度そのときの市場ニーズに対応すべく、打ち手の変更に迫られる事が多々あります。したがって、いかにその変化に対応し、PDCAサイクルをスピーディに実行できるかが新規事業では特に重要な要素となります。

既存事業に慣れてしまっていると、新規事業の途中でビジネスプランを変更しようとしても、システムに柔軟性がないため、変更ができなくなる、もしくは遅れてしまう事が大半です。今回はビジネスプランの変更も十分に考慮し、意識的にシステムに柔軟性を持たせたことにより、ビジネスプランを変更する事ができ、事業として収益を上げる事ができました。

ただ一点だけ注意する点は、なるべく汎用性の高いシステム設計を行う事は非常に大事ですが、あまりにも汎用性を意識しすぎるとシステムが複雑になり、開発コストの肥大化や、運用フローでの矛盾が発生するなどのリスクもはらんでいます。

理想と現実をしっかりと見極め、状況に応じてバランスのとれた開発指針を示す事が重要です。

タグ: , ,