ソーシャルゲーム業界の盛衰を考える
ソーシャルゲーム業界について考えてみたいと思います。
ソーシャルゲーム業界のバブル期
私は仕事柄、日々IT系の業界動向を注視しているのですが、その中でも関心が高いのはソーシャルゲーム業界です。
ソーシャルゲーム業界は、ここ3、4年で製品の導入期?成長期?成熟期の典型例を迎えており、ビジネスケースとして、非常に興味深い分野であると感じています。
皆さんもご存じの通り、約2年前の同業界はまさにバブル期でした。具体的には、2011年にソーシャルゲームで起業した複数の会社が、2年後の2013年には何社も上場を果たし、数十億、数百億円の相当な市場価値で買収がなされる、夢のある状態でした。
しかし現在の各社の最新決算状態は、黒字半分、赤字半分といったところでしょうか。恐ろしい程の利益を上げているGungHoやコロプラにおいては、現在でもDeNAとGREEの株価を追い抜く勢いがありますが、一方で、KlabやDrecomのようなソーシャルゲームでも有名なCP各社は軒並み赤字となっている状況です。
さて、その理由はなぜでしょうか。
バブル期から現在への遷移
実は私も前職で2年前のバブル期を迎えた際に、後発ながらソーシャルゲームに参入し、無事一山当てた経験があります。その経験を踏まえると、2年前と比較し現在の競争環境は以下の様に変化したのではないかと考えています。
※ちなみに個人的には2年前からこうなると薄々予想はしていました。
1.市場
- ユーザー数が2年前をピークにほぼ伸びきってしまい、成長率は緩やかである。
- バブル期に大量増殖した「カードバトル型」ソーシャルゲームが1年程前からユーザーに飽きられるようになり、ヒットするには新しい企画が必要になってきている。
- 加えてソーシャルゲームに対してユーザーの目が肥えてきて、よりリッチで企画力のあるゲームが必要になってきている。(ゲームの進化を思い返してみると分かるかと思います。)
競合
- ソーシャルゲームへの参入業者数が倍増した。(app storeのゲームTOP300にランク入りしている業者数はここ2年で4倍になりました。)
- コンシューマのゲームメーカーが参入したことにより、コンシューマ水準のリッチで企画力の高いゲームが投入され、ヒットするゲームに必要な企画力・技術力・資本のハードルが上昇した。
自社
- 上記のような状況のため、ヒットするゲームを出すには企画力・技術力・資本が必要になってきた。特に広告費・開発費が高騰した。
以上のように、
- 新規参入企業の増加
- 市場の高止まり
- 出せば売れる時代から質が求められる時代に
- 開発費・広告費の増加
と、典型的なプロダクトライフサイクルの成熟期を迎えた状態だと私は考えています。
特に今までの成長で大きかった要因としては下記が挙げられるでしょう。
- スマートフォンでゲームするユーザー数がそもそもまだ少なく伸びしろ大きかったこと。
- ソーシャルゲーム自体まだ新鮮だったので、1本約3000万円程度の少ない初期費用と運営費用で事業が出来ていたこと。(この程度の投資で、月に数千万円?数億円のグロスを稼ぐことが出来てしまっていました。)
とはいえ、現在ではソーシャルゲームのユーザー数も伸びきり、初期費用も運営費用も一桁違う規模が求められるようになってきているので、ソーシャルゲーム業界では今後バブル期が到来する事は望めないと考えます。
ソーシャルゲーム業界の今後
一方で、スマートフォンに代わる新しいデバイスが出てきたら、その際はまた一山当てるチャンスかもしれませんね。ユーザー数に伸びしろがあり、且、その製品自体が新製品であるので、低投資の製品でも満足してしまうような状況で参入出来る、という好条件が揃うことになります。
その時では「ソーシャル」ゲームかどうかはわかりませんが、ゲームの分野で何か新しく儲かるビジネスモデルが出てくるのではないかと予想しています。
そのチャンスを逃さないためにも、私も技術革新の動向を常に注視していこうと思います。
タグ: スマートフォン, ソーシャルゲーム