技術調査 特許調査の必要性

2009.03.19

新規事業を計画する際の「チャンス」と「リスク」

新規事業を計画するにあたって、大きくはその事業の「チャンス」と「リスク」の2つの観点から検討を行う必要があります。ここでいう「チャンス」とはその事業によってどれくらいの収益が見込めるのかということであり、「リスク」とは事業を実現するにあたって障害となりうる事項のことです。

新規事業となると、ついつい「チャンス」にばかり目を向けがちですが、今回は「リスク」のうち、特に特許に関するものに焦点をあてて話をさせていただきたいと思います。

障害特許調査における「キーワード」選択

一般的に、障害特許調査を行う場合には対象とする技術分野において関連する技術用語をキーワード検索して関連する特許公報を抽出しますが、この作業は企業内において専門スキルを持った知財部などが実施しています。知財スタッフは知財に関する知識と自社の製品に関する技術についての知識とを有しているため、この「キーワード」を高い精度で選択することができます。

しかしながら、障害特許調査が既存製品に関するものではなく、新規事業に関する製品やサービスに関するものであった場合はどうでしょうか?

私自身、かつてはメーカーの知財部で働いており新規事業開発部などから特許調査の依頼が来るたびに苦労しておりました。というのも、新規事業の場合用いられる技術自体が異なる、または技術が適用される対象が異なるため、適切な「キーワード」を選択することが困難であるためです。

「リスク」を削減する事によりデメリットが生じてしまう

そこで新規事業の場合では特許調査会社などに調査を依頼するのですが、特許調査会社の調査は「少しでも関係しそうな特許公報はすべて抽出できるように検索する」という特許の抽出漏れのリスクをできる限り少なくしようとする手法で行われるため、全く関係しないようなノイズを多く含んだものとなってしまい、特許公報の中身を読み込んでいく作業量が膨大になってしまうというデメリットがあります。

デメリットを解消するためには「構造化」が必要

では、どのようにすればこのような特許調査におけるデメリットを解消できるようでしょうか?

私の職務経験上、実際に大きな効果をあげた解決策は、特許群を「構造化」し、まず全体像をつかむというものでした。

ここでいう構造化とは、例えば「その市場における重要なプレイヤーは誰か?」や、「各特許は特徴毎にどのようにカテゴリー化できるか?」、「カテゴリー毎の基本特許は何か?」といったことをつかむことです。既存製品の場合では、経験上この構造化が自然とできている場合が多いですが、新規事業の場合はそうはいかない可能性が非常に高くなります。

そして、このような構造化を行うため私がとったアプローチは、特許だけではなく市場全体を俯瞰し構造についての仮説を持った上で各特許を見ていく方法であり、結果として高い精度で特許の全体像をつかむことができたと考えております。

これまで私どもは、新規事業への需要が特に高い環境分野、及びライフサイエンス分野におけるコンサルティングを通じて市場の重要プレイヤー等についての情報を蓄積してきました。

そこで次回からは、このような環境、及びライフサイエンス分野におけるいくつかの技術分野において例示的に特許の全体像を「構造化」の手法を用いながら解説していきたいと思います。

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