事業開発(1)技術をアピールする!

2008.11.28

このブログは、日本のものづくり技術者の視点に立ち、技術者の日頃の課題についてその解決の一助となればとの思いのもとに書き綴りたいとも考えております。

技術研究者の意見

筆者は、MOTコンサルティングという業務を主とするため、画期的な技術を持つ大手メーカーやベンチャーの研究者の方とお話をすることが多くあります。

これらの研究者の方々から多くいただく意見に、「この最先端の技術をどのようにアピールすればよいのかわからない。」「文系の企画担当や営業担当の人間に説明しても、まったく理解してくれない。おかげでうまく製品化ができない。」というものがあります。

実は、わたくしの考えとしては、逆に、相手が理解できないぐらいの技術のほうが独創性があると誇ったほうが良いくらいだと考えています。

専門家でもない人間が、昨今のこの日本の最先端技術を理解しようとしてもそれは無理というものであるからです。研究開発を行う技術者の方々は、数年間にも及ぶ活動の結果としてこの開発に至っている訳ですから、文系の企画担当、営業担当の人間が10分、20分説明を聞いただけで理解できるはずがありません。

例えば、アインシュタインの相対性理論だって、今でこそ、頭の良い中学生であれば理解できるぐらいに世間に浸透していますが、これが発表された当時は、理解できる人間は世界でもほんの数人という状況でした。

技術というものも、新しく独創的で画期的なものであるものほど同じようなものであると思います。

技術そのものをアピールするのは効果がない

しかし、とは言え、企業人たる技術者の方としては、相手が理解できないからといってそこで引き下がってしまうわけにはいきません。この技術の持つ可能性を何とか理解させて製品化に結び付けていかなければなりません。

しかし、ここでよくありがちなのが、自分が開発した技術そのものについての詳細を説明しようとしてしまうのです。例えば、歴史の教科書に載っているような技術史から説明を始めたり、難解な方程式の解法や理論を説明したりということです。技術者の方が熱意を持って説明すればするほど、聞いている方の意識は遠のいてしまうでしょう。

では、どのようにすればよいのでしょうか?

技術が解決する課題の重要性に焦点を当てる

それは、アピールの中心を、「その技術がいかに優れているか!」ではなく、「その技術が解決しようとしている課題はこんなに重要だ!」ということに焦点をあてることにあります。

例を挙げて説明します。

「その技術がいかに優れているか!」の場合はこのような説明です。「これは画期的なモーターと制御装置です。通常とは異なり、大きさの違う回転盤を組み合わせてそれが回転した場合の表面積を検出してそれを積分し…・だから、非常に早い速度で制御が可能となるのです。」

これを聞くほうは、「表面積を検出して積分する…!???」のあたりからまったく理解不能の状況となるでしょう。

では、この事例の場合のMOT的技術アピール「その技術が解決しようとしている課題はこんなに重要だ!」について考えてみます。

上記のモーターの場合、「ハードディスクの検査工程に利用できる。非常に速い速度で制御が可能となるため検査工程にかかる時間が半分になる。」というのが市場に対する売りです。
この検査工程がこれまでのボトルネックであったとして、これにかかる時間が半分になれば、工場のラインが同じ時間で倍の製品を流すことができるということになります。一言でアピールするなら、「このモーターと制御装置を活用すれば、工場のハードディスクの製造能力が2倍になります!言い換えれば納期が半分になるということです!!」というものです。

これなら、この技術の価値も理解していただけることでしょう。

そしてこの価値をわかってもらった上で、なぜそれができるのかということについて技術を説明すればよいのです。

その時にも、ただ単純に技術のことを説明するのではなく、いままでは技術と比べてどう変わるのか、競合の技術とはどのように違うのか、というように比較をしながら説明を行えばよりわかりやすくなるはずです。

いかがでしょうか。ちょっとだけ視点を変えてこのようなアピール方法を考えてみてはいかがでしょうか?

技術者の方がこのようなアピール方法を少し考えるだけで、組織が動き出し、製品化に向けて進みだすと思います。

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