新規事業とプライマリーコミュニケーション(2)

プライマリーコミュニケーションの考え方

前回は新規事業におけるプライマリーコミュニケーションの必要性に関しご紹介させていただきました。第2回となる今回は、そのプライマリーコミュニケーションを実行する際の基本的な入口の作業とアイデアに関しご紹介させていただければと思います。

新規事業リリースの書き方

前回、外部とのファーストコンタクトを取る手段として「ニュースリリース」は依然強力な手段で、マス媒体の力を借りる意義は大きく残っているとお伝えしたかと思います。

しかしかながら細かく担当者を割り出し、丁寧に届けたとしても、肝心のリリースがメディアの流儀に乗っていなければ期待した効果の半分も出ないことは多々ありますし、更には一読した段階で何を意図するリリースなのか判別されず記者の検討の遡上にもあがらない結果でさえ起こり得ます。

では、まず新規事業(新サービス)を伝えるニュースリリースに最低限必要なものはなんでしょうか?

  1. 新規事業の概要(目的、ターゲット、運用方法、予想収益 など)
  2. 新規事業を担保しているビジネスモデル、技術の説明
  3. 今後の事業展開
  4. 事業(サービス提供)会社概要
  5. 問い合わせ先
  6. トライアル実績
  7. 海外事例のサマリー(海外が先行している事業の場合)
  8. 国内市場の状況(ビジネスの規模感を伝えるのに有効です)

1?5が基礎的なコンテンツになると考えます。

さらに、例えば事業開始前にトライアル導入などを試行し、何らかの実績がある場合には、そのトライアルの結果を伝えることも重要です。そういう意味では、6?8なども要素として提供できるとより親切ですね。

さて、これらをリリースとしてまとめ上げてゆく訳ですが、ここで一番注意しなければならないのは「必要以上に饒舌にならない」ということです。新規事業やサービスには皆さんの強い想いや期待が詰まっていることでしょう。だからといって、アレもコレもと取り止めなく詰め込んでしまうと、一日に大量の情報を処理している記者にとってはなんとも「TOO MUCH」になってしまい、本当に重要な情報が伝わらない可能性が発生します。

ですので、リリースの基本的な構造は以下の通りが望ましいかと思われます。

(新規事業ニュースリリース構造の例)

1)タイトル:○△株式会社○△事業参入のお知らせ
2)サブタイトル:日本で初めての××を□□へ提供
3)本文前半(サマリー部分):新事業の概要
・事業主体
・事業名称と簡単な事業内容(ビジネスモデルなど)の説明
・事業の新規性、想定ターゲット、単価、予想収益
※上記に付加情報としてパートナー情報なども追加可能
4)本文後半(詳細情報):
事業導入、立上げの背景
参入事業の市場動向、規模感
(海外事例)
ビジネスモデル、技術詳細
今後の事業展開
※必要に応じ図を用いて、視覚的な理解が可能な様に編集
5)問い合わせ先(担当者名、部署名、電話番号、メールアドレス)

上記はあくまでも基本的な構造ですが、重要なのは本文前半(ここで言う前半とは、リリースの一枚目に収まっていることを理想とします)で事業の全てを簡潔に説明し切ることです。これが成功しないと記者は二枚以降の詳細な情報を見ようとはしないでしょう。

ましてや、一枚目でどんな事業で誰に向けて何を提供するのかさえも判らないリリースなど最悪です。情報の高速処理に対応し、一枚目で全てを言い切り、二枚目以降はその補完材料となる文章を用意しておくことが何よりも構造上大切です。そして、リリースは出来る限り「A4、3枚以内」に収めてください。

更に理解度を高めるために一部の企業では、サマリーの文章に入る前に箇条書きでサービスのメリットやターゲット、予想収益などを記載するなどの工夫をするところも目立ち始めました。

提供する情報のヌケモレを防ぎたいのであれば、本当に文章の基礎でもある「5W1H」を頭において書けばよいと思います。上記の理解度を高める企業のマネをするのであれば、この章のポイントは以下の通りです。

新規事業ニュースリリース記載時のポイント

  • A4/1枚で事業の全てを伝えるように簡潔にまとめる
  • まとめる際のポイントは5W1H
  • 新規事業の「これまで」と「これから」を書く
  • まとめることが出来たら補完情報は2枚目以降に記載
  • 読み手の立場に立ち、専門用語は必ず解説
  • 短縮語は使わない
  • 必要であれば図を入れ視覚的な理解度を上げる
  • かならず連絡先を記載する

これらを守れば、大きく的を外したリリースは出来上がらないハズです。それ以外の個別のしきたり等は個別にメールを頂ければお答えさせて頂きます。

どうしても心配だ、という方は世の中に出回るニュースリリースを実際に読んで、その流れや構造に慣れることをお勧めします。その際、役に立つのは以下の3サイトではないでしょうか。

ニュースリリース作成時に参考になるサイト

次回はこの作成した新規事業第一弾のリリース送付時のちょっとした工夫とコツについて書きたいと思います。

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