2014年12月度 新規事業トレンドレポート

みなさん、こんにちは。
プライマル株式会社のコンサルタント 竹内と申します。

その時々で、どの業界で、どのような会社が、どの様な新規事業が立ち上がっているのか、またその傾向から何が言えるのか、新規事業の取組に関して実態・傾向を把握する為に、今回より新規事業に関する定点観測「新規事業トレンドレポート」を行っていきたいと思います。

調査・分析の手法については、様々なアプローチで実施しようと考えていますが、今回は企業の新規事業に関するニュースリリースを収集/集計いたしました。
本ブログでは、その集計結果の一部をご紹介します。

2014年12月度 業界別新規事業件数

新規事業開発を積極的に行っている業界はどこか、業界別の新規事業件数を整理しました。

図1 新規事業トレンド(業界、リリース内容)
図1 新規事業トレンド(業界、リリース内容)

2014年12月度において、ニュースリリース数の多かった業界の上位4位は以下の通りで、情報通信並びにサービス業で過半を占めています。

  • 1位:情報通信業・・・約30%
  • 2位:サービス業・・・約20%
  • 3位:生活関連サービス業、娯楽業・・・約12%
  • 4位:卸売業・小売業・・・約10%

上位2業界である「情報通信業」、「サービス業」について、更に内容を細分化して図1右表の通り傾向分析を行ったところ、いずれの業界も「新製品・新サービス」に関するニュースリリースが多かった事が判ります。

情報通信業界の場合は、以下の業界特性が要因となり、新規事業の件数が多い事が考えられます。

  • IT業界は「PC時代」からスマートフォンやタブレット端末などが中心の「モバイル時代」に完全移行した点
  • 海外の巨大企業が日本市場に簡単に参入できる時代になったため、国内企業に大きな脅威となっている点
  • 携帯電話市場では大手キャリア3社の競争が激化している点
  • IT情報サービス業界では、設備投資再開による市場の回復傾向が追い風になっている

スマートフォンアプリの参入障壁の低さから来るアプリ開発競争の激化や、O2O関連施策、ビッグデータ関連施策の活性化など、2014年12月度は今のトレンドに乗る動きが比較的多い結果となりました。

サービス業界の場合は、国内経済の動向に比例する傾向が強い業界と言う事もあり、2012年末ごろから実施されたアベノミクスによってもたらされた、円安、日経平均株価の上昇などの国内経済の回復に連動して、業界全体も業績を回復しております。2014年12月度は特に人材サービスに関するリリースが多く、先に挙げた業界特性に関連して、人材雇用に関する取り組みが多い結果となりました。

続いて、リリース内容で多かった新製品・新サービス動向について、ご紹介いたします。

2014年12月度 主な業界の新製品・新サービス動向

図1で挙げた上位4位の業界の新製品・新サービスのリリース内容を元に、新規事業の特徴を表2の通りまとめました。

表2 主な業界の新製品・新サービス動向
表2 主な業界の新製品・新サービス動向

表2の事例からも分かる通り、圧倒的にC向けサービスが多い事がわかりますが、中にはNextPublishing特約店制度の様にB向けサービスも存在しています。業界毎のビジネスモデルの違いから、打ち出されるサービスモデルの違いに傾向が見られる可能性があるため、今後の調査ではその傾向分析もできればと思っています。

最後に、筆者が選定した今までにあまり見た事のない、新しいサービスについてご紹介いたします。

新サービスのご紹介

■写真でも映像でもない3Dモデル成形アプリ「Fyuse」

写真でも映像でもない3Dモデル成形アプリ「Fyuse」
写真でも映像でもない3Dモデル成形アプリ「Fyuse」

2014年12月24日、空間を3Dで撮影できるカメラアプリ「Fyuse」のバージョン2となる「Fyusion」がリリースされました。ある空間を水平方向や垂直報告に撮影することで、その対象の3Dモデルを生成し立体として保存できるアプリです。
このアプリで被写体を撮影するとあらゆる角度から見ることができるデータを作成できます。アニメのフィギュアやコスプレなどを撮影し、好きな角度で見返すことができます。ファッションブランドの「Pyer Moss」が自社の商品を撮影しマーケティングに利用するなど、企業との連携を進めていく方針です。

■ウェアラブルデバイスで撮影された映像を配信するキュレーションサイト「Shark-J(シャークジェイ)」

ウェアラブルデバイスで撮影された映像を配信するキュレーションサイト「Shark-J(シャークジェイ)」
ウェアラブルデバイスで撮影された映像を配信するキュレーションサイト「Shark-J(シャークジェイ)」

2014年12月2日、ウェアラブルデバイスで撮影された動画のみをキュレーションした「Shark-J(シャークジェイ)」が公開されました。その強みはなんといっても動画の迫力です。高い山に登る登山家の視点、シュートを決めるプロサッカー選手の視点、野生の動物の視点など普段の生活では絶対に見ることができない風景を楽しみことができるサイトです。このようにプロの目線を集めて、その分野を目指す人々への教材として動画を提供していくとのこと。同社はイベント開催などを通して、ウェアラブルデバイスの布教にも力を入れていく姿勢を見せています。

以上が2014年12月度の新規事業のトレンドレポートとなります。

今回が初回のレポートとなりますので、今後はさらに海外の媒体も含めたサンプル数の確保や、収集方法/集計方法を試行錯誤しながらブラッシュアップしていきますので、是非ご期待頂ければと思います。

なお、「こんな事が知りたい!」、「○○の動向はどうなっているの?」などご興味・ご関心がありましたら、弊社までお問い合わせ下さい。
ご連絡お待ちしております。

■お問い合わせ先
新規事業トレンドレポート担当
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参考

今回の調査概要を表1にまとめました。

表1 調査概要
表1 調査概要

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